2015年3月22日日曜日

『思想としてのミュージアム』書評!

関西大学文学部教授、および兵庫県立歴史博物館館長の藪田貫先生が、
拙著『思想としてのミュージアム』を大学の校友会誌の書評欄で紹介してくださいました。
せっかくなので媒体を広げるべく、ここにアップさせてください!(村田麻里子)



2015年3月12日木曜日

メンバーの新しい本『思想としてのミュージアム―ものと空間のメディア論』が出ました!!!

人文書院より、村田麻里子著『思想としてのミュージアム―ものと空間のメディア論』が出ました!
日本の博物館の流れから、現代のグローバルな動向まで一気に論じられています。歴史としても、博物館研究としても、あるいはメディア研究としても入っていける、様々な入り口が用意されています。
もちろんポピュラー文化や建築にも大きく紙幅が割かれており、ミュージアムに興味を持つ人はもちろん、マンガやマンガを用いた地域再生といったテーマに関心を持っている方はぜひご一読下さい!
個人的には、日本において、ポピュラー文化であるマンガが、すんなりとハイカルチャーの殿堂であるミュージアムに収まっている理由を、下記の文章を読んですっきり腑に落ちました。
日本の博物館という空間メディアの最大の特徴は、ミュージアムの思想が完璧な制度として体現されたことによる、その機能性にあるのではないだろうか。だからこそ、日本の国公立の博物館は、殖産興業→国体論の喧伝と国威発揚→ファシズム解体と戦後民主主義の徹底と、社会状況に応じて発信するメッセージを容易にかつ機能的に変容させることが出来たのである。そして、ファシズム体制が完全に解体され、高度経済成長期になると、今度は次々と県単位で増えていく博物館は、地方の「豊かさ」の象徴となっていく。しかし、博物館の数も増え、それも達成されると、博物館が伝達するべきメッセージの不在をもたらした。現在の博物館の「窮状」や「不況」は、より本質的にはここに帰着するのではないだろうか(同書、171~172ページ)